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SMAART Aコース旅するセミナー「他県の取り組みを知る」in 長崎

11/4
晴天続く秋の連休中日。SMAARTは初の県外、長崎へ向かいました。

雨男の汚名を晴らした笑顔の花田先生。


心配された渋滞もなく、初めの目的地長崎県美術館へ到着です。


2名の講師をお迎えし、講座室にてレクチャーの始まりです。

まず西島先生より挨拶です。


続いて、明治大学商学部教授 菊池一夫先生より
「まちづくりとサービスデザインの意義」
と題してレクチャーをして頂きました。


現在、日本の小売店は最大172万店から、現在はおよそ70万店減少し102万店にまでに落ち込んでいるそうです。

地方において、地域の小売業が衰退するということは生活の質が落ちていくことに繋がるので、この状況を好転させていくために「サービスデザイン」を考えていくが必要,と先生はおっしゃいました。

「サービスデザイン」とは、
・お客さんの視点から組織を考えていくこと ・お客さんと共感できる点からサービスを考えること
→お客さんと(心地よい)感情的なつながりを持つ=エンゲージマネジメントを構築し維持すること

このエンゲージマネジメントの成功例を都市と地方の2パターン紹介してくださいました。

都市型の例としては、
例えば、屋上を菜園にすることで
・子どもが退屈しない→滞在時間が増える→顧客購買額が上がる→利益が増える
・菜園で採れた野菜を通じてコミニティーが出来る→社会貢献
・テナント従業員の休憩場所に使用→福利厚生の向上につながる
企業の社会貢献が本業と結びつき利益に繋がっています。

地方型の例としては、秩父みやのかわ商店街を例に紹介して下さいました。
・店舗同士、店舗と客との間に会話があり、互いの距離が近い
→困っていること、必要としているのもが分かる
→ラストマイル(小売店と顧客の距離)が小さい
・客の視点から地域の絆に結びつけることができる

また、水戸市の駅前と郊外に住む人の栄養状態を比較した例では、人間関係が密であることの大切さが分かりました。
郊外に住む人の方が栄養状態がいい
→人間関係が密であることから助け合いが出来ている
→コミニティーの必要性

今、私たちが住む街はどんな状況でしょうか

もし、課題があるとすれば

都市型のように、特定の趣味やテーマに集う人のつながりをデザインして新しいコミニティーを作るのか、地方型のように人間関係を密にして地域の街を活性化するためにコミニティーの再構築をしていくのか。

これを見極めることが今後のコーディネーターに必要なことで、街に希望や楽しさを吹き込んでいってほしいと締めくくられました。

 

学んだことをSMAARTではどのように生かしていくのか考えていかなければと思いました。

 

 

お二人目の講師は長崎国際コンベンション協会で「長崎さるく」を担当しておられる的野寛さんです。

長崎さるくでは、今あるものを生かして地域活性のために取り組まれている例を教えて頂きました。

長崎は歴史的背景から、少し歩けば次々に歴史の文化に触れられる貴重な都市であり、地理的にもコンパクトな町であることから歩いて長崎の良さを伝える方法が定着したそうです。

2006年の長崎さるく博以降観光客の減少に伴い、観光の形の様々な変化
・団体客→個人客
・男性主体→女性主体
・幅広く観光地を回る→1点集中型
等に注目して企画を組み立てなおされたそうです。

 

長崎さるくは「街生かし、人生かし」をテーマにしてあり、元々あるものをパビリオンに、ガイドを市民から募集してあります。
地域に根付いた活動を行った結果、
・街に興味を持つ人が増えた
・地元の良さを再認識した
・街がきれいになった
という良い効果が生まれたそうです。
逆に、ゴミや騒音問題に対しては、スタッフが自治体を一つずつ回り解決していったそうです。

「笑顔と触れ合いをモットーに」長崎さるくが始まって10年、さらに向上するために他都市の街歩きを逆輸入してコースの見直しを行ったり、ガイドの研修等を続けていらっしゃいます。

 

午後からはその「長崎さるく」を実際に体験してまいります!

午後からのさるく体験前に、長崎県美術館の学芸員のお二方に美術館をご案内して頂きました。

 

 

 

 

 

学芸員さんの案内付きで美術館を見学できる経験は貴重でした。

 

長崎さるくは、今回はオーダー型で、長崎ではどのように地域文化を生かしているのかをシュガーロードをメインに組んでいただきました。

出発点は「出島」です。

出島では砂糖の文化を中心に見学しました。

当時、砂糖はとても貴重なものだったらしく、袋に穴をあけてこぼれた砂糖を集めお金に換えていた、なんて話も教えてもらいました。

砂糖が貴重品だったことから、お客さんをおもてなしするときには砂糖をたくさん使った甘い料理を出していたそうで、甘みが足りない時には「お宅は長崎が遠かね」、と(嫌味?)を言うそうです・・・

出島に続いて、お次は中華街へ。


中華菓子を扱っておられる「福建」さんへお邪魔しました。
試食もたくさんいただきました。

たくさんのお土産もいただいて大満足!

続いて観光通りへ

アーケード内に長崎水害の時の水位が柱に残っていました。

次のお店は「ノスドール」さん。

外観も素敵でしたが、店内もとても素敵なお店でした。

ここではチーズの焼き菓子を試食させていただき、お土産も頂きました。

続いて中通りへ。

アーケードの広い観光通りとは違い、細い通りでしたが、趣のある商店が並んでいました。

その中の一つ、「岩永梅寿軒」さんへ。

 

社長さんも出てきて頂いてお話しくださいました。

こちらは和菓子のお店ですがカステラも焼いておられ、このカステラが人気でなかなか手に入らないとか・・・
特別に試食させていただきましたが、やはりこの日も売り切れで買えませんでした。予約は2,3か月待ちだそうです。

続いて向かったのは、SMAART講座に欠かせない黄檗宗のお寺です。

国指定重要文化財「興福寺」。

普茶料理も食べることのできるお寺です。

ガイドさんの説明があると歴史背景が見えてきて興味をもって見学することができます。

続いて向かったのは「眼鏡橋」。
長崎の観光には欠かせない場所です。
日本最古の石橋である眼鏡橋は先に訪れた興福寺の2代目僧侶が建立したものです。

この橋も長崎水害の時に半壊したそうです。

水害を防ぐために行った河川工事では、既存の町並みを残すため川幅を広げるのではなく川の流れを3本に分けたそうです。こういった考え方が、「今あるものを生かす」さるくの考え方にも繋がっているのだと思いました。

ここを訪れた人が探すハートの石。

カップルや女の子が写真を撮っていますが、このハートの石は水害の時に亡くなった方のハート(心)を次世代に残すために埋め込まれたものだそうです。そういった背景を知ってこの石を見ると、また違った見え方がしてきます。

最後に訪れたのは「松翁軒」さん。長崎のカステラのお店としては一番の老舗だそうです。

美味し~いカステラを頂きながら、社長様のお話を聞きました。

昔のカステラの焼き方を再現された動画も見せて頂きましたが、上火や下火の調整など苦労された様子がうかがえました。

旅するセミナーも今回が最終回。

座学も大切ですが、実際に見て、聞いて、体験するとより印象に残っていくと思います。

今回もたくさんの方にご協力いただき色々なことを学ぶことができました。ありがとうございました。