/SMAART10/20 Bコース『文化芸術とお金の仕組み』 

SMAART10/20 Bコース『文化芸術とお金の仕組み』 

10/20(金) Bコース アートマネジメントセミナー『文化芸術とお金の仕組み』が開催されました。

会場は8/18の講座でも使用したシアター・シエマ

 


事務局の花田より挨拶

 

誰もが気になり、避けては通れない〝お金の話”、ということで芸術文化のお金の仕組みに詳しい、2名の講師をお呼びし、レクチャー・ワークショップをおこないました。

 

1人目の講師は、業務用音響・映像機器メーカーであるTOA(神戸市)にて広報業務とメセナ活動の企業運営を兼務し、2012年より企業メセナ協議会の調査研究部会長を兼務されている、吉村真也さん。

  

「企業の文化芸術活動」というテーマで、企業が文化芸術活動を支援する「企業メセナ」活動の理念や近年の動向、具体的な事例をお話ししていただきました。

時代を経るにつれて企業のあり方が変わってきており、メセナの変遷がうかがえました。近年の企業のメセナ活動は、芸術文化を支援するのは基本ですが、加えて自社にとってどのような価値があるのかを意識しているそうです。

企業メセナで作成された統計データを見ていくと、単純に他団体にお金を出すだけの企画は減り、自社がやりたいこと・やれることができる自主企画が増えてきているのがわかりました。

企業が投資をおこなう理由として、近年上がってきているのが、「企業のブランド向上」
それは必ずしも、短期的・経済的価値と直接結び付くものではなく、メセナ活動において、企業の自主企画をおこない「地域」と交流し「好ましく、顔が見える企業」を醸成していくためである、とお話ししてくださいました。

申請する側も、ただお金の支援をしてもらうだけでなく、企業の求めているものをきちんと汲み取れるよう、企業と申請する側、お互いの対話が必要になってくるように感じました。

具体的事例として、TOAがおこなっている3つのメセナ活動を紹介していただきました。
ここでは、その中の1つ、TOA「トライやる・ウィーク」コンサートシリーズ(1998年~継続中)を簡単に紹介します。

近隣の中学2年生とプロのアーティストが一緒に舞台作品を創作するもので、最後にはTOA本社にあるホールで地域住民に無料のコンサートとして披露。
はじめた当初は「名前も場所も知らない、不安な企業」と子供たちに言われていたそうですが、活動を継続することにより「TOAのコンサートに出たかった」と子供たちのうれしい変化や、保護者以外にも毎年観客があり、様々なところで地域との関係性が変化し「企業ブランドの向上」につながっているそうです。

 

 

2人目の講師は、6/25の開講式でも講師をしていただいた、若林朋子さん。プロジェクト・コーディネーターという肩書きで、アート以外も含む各事業のコーディネートやコンサル、NPO支援等に取り組まれています。

  

「助成金を獲る~申請書の例」
企業や自治体からの助成金を得るためにどのような心構えや工夫が必要か等のレクチャーを受け、実際に申請書に記入していくワークショップをおこないました。

レクチャーでは、ファンドレイジング(資金調達)に関することや、支援の種類、企画書・申請書類の説明など、いままでわかっているようでわかっていなかった部分を、簡潔にわかりやすく、また豆知識も加えてお話ししてくださいました。
TOAの吉村さんの合いの手も入り、「なるほど!」と思うことが多くありました。

レクチャー後は、実際に募集要項を見ながら、アートカフェを題材に、申請書に記入するワークショップを行いました。今回使用した申請書は、佐賀県の助成事業『佐賀さいこうアートプロジェクト2017』県民プロジェクトのものです。(もう締め切られています。)

書類記入の前に、若林さんが最も大事だと言われていたのが、

『募集要項・申請書類フォーマットの熟読』
『過去の採択プロジェクト・報道を調べ、熟読』

募集要項等はヒントの宝庫であり、しっかりと読み解くことで支援する側の《求めているもの・目的》を確認し、作成していくことが、重要なポイントとして挙げられました。

  

 

 

短い時間の講座でしたが、本当に多くのことをレクチャーしていただき、ここに書ききれないくらいでした。
とても充実した講座になったと思います。
「もうちょっと聞きたかった」という声や、今回残念ながら参加できなかった受講生から、「すごく聞きたかった講座だったので、資料を送ってください!」という声が多くありました。

みなさん気になる回だったようですね。