夏の夜の不思議な体験「サナトリウム」

 

アートスペース見学第2回目の会場は、福岡・天神繁華街の裏手にある
不思議博物館分室 喫茶/ ギャラリー「サナトリウム」

お話ししてくださるのは、不思議博物館館長の角孝政さん。
アーティストでもあり、そして佐賀大学のOBでもあります。


不思議博物館館長 角さん

「サナトリウム」とは別に、「不思議博物館 本館」という角さんの制作された作品やコレクションが展示してあるスペースもされています。

 

 

 

「不思議博物館」は、個人HPで架空の博物館をつくったのがはじまり。
(当時、公的な博物館などもHPがなかった時代なので、検索では1番上にでてきたとか)
博物館という施設に興味があったそうです。

 

その後、2005年に開催された「福岡トリエンナーレ」の招待作家として出品した際に、
HP上の架空のものであった「不思議博物館」を現実世界で制作。

2008年には、自宅の作業場の上にプレハブを建て、「不思議博物館」をオープン。
中には角館長の作品やコレクションがずらり。「巨大クマムシ」「巨大ディプロカウルス」などなど、、、(気になる方は検索!)

しかし、なかなか交通の便がよくない場所であったため、もっと行きやすいところ
にスペースを作りたいとぼんやり考えていた時に、テレビや映画で「サナトリウム」を
テーマにしていたものを見ていたのを思い出し、興味を持ち、調べたりしていたそうです。

 

調べる中で「こんな施設が身近にあったらおもしろいだろうな」と思い、
2015年、今の場所に、不思議博物館分室 喫茶/ ギャラリー「サナトリウム」をオープン。

はじめはシンプルに「サナトリウム」という施設を作りたくて、医療器具のみ、などでやりたかったそうですが、
それだけでは回していけないので、ギャラリー・喫茶を取り入れました。

ギャラリーを併設した理由として、福岡にサブカルチャーを発表する場所がなく、
サブカルチャーの作品を発表したい人たちのための場所作りが必要だと思ったといいます。

「サナトリウム」では壁面に様々なサブカルチャーの作品が飾られています。
また、取り組みとしてサブカルチャーの公募展もおこなっています。

 

 

角さんにとっては「不思議博物館」も「サナトリウム」も
単なるギャラリー・喫茶の施設というわけでなく、「作品の一環」として考えているそうです。

 

 

休憩をはさみ、参加者からの質問コーナー

「なぜ、この道にすすんだのですか?」

学生時代は近代彫刻を真面目に制作しており、彫刻家になりたいと思っていたが、
角さんの中で、他人と違うことがしたい!という気持ちがあり、
「これは本当におもしろいのか?怪獣とかの方がおもしろいのではないか?」
「教科書の美術よりもテレビのウルトラマンのデザインの方が実はすごいんじゃないか?」という、
美術に対する疑惑が湧いてきて、興味が薄れ、反対に博物館や全国にある個人でやっている怪しい博物館に興味がでてきたそうです。

個人で怪しい施設を作っている人の方がより自分の目指しているものに近いんじゃないかと思うようになったそう。

 

「造形のお仕事はどうやってもってくるんですか?」
※角さんは立体造形作家としても活躍しています。

造形会社に勤めていたこともあり、その会社から仕事を受けたり、
別の仕事で面識がありそこから依頼を受けることもあるそう。
「造形の仕事が来るか来ないかは 運であり、奇跡的なことが繋がってやってくる」と力説されていました。

 

そのほかにも、スケジュール管理の大切さやお金の具体的な話、プライベートなことまで(笑)赤裸々に語ってくださった角さん。
最後まで笑いありのアートスペース見学となりました。

 

夏の夜、ちょっと不思議な体験ができた受講生のみなさん、ぜひ「サナトリウム」からそれぞれが得たヒントを活かしてもらえればと思います。